★初級解説(キッズサイエンティストコーナー)
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★詳しい研究内容(KEK重力波グループホームページ)
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アインシュタインの一般相対性理論で導かれる重力波は、連星中性子星の電波観測で間接的には存在が確認されていますが、直接観測は未だになされていません。KEKの重力波グループでは、世界で最初に重力波の直接観測を達成すべく、極低温技術を活かして検出器(レーザー干渉計)の感度向上のためのR&Dをしています。
現在我々のグループでは、ニュートリノ検出器”Super Kamiokande”と同じ岐阜県神岡鉱山内に100m規模の低温干渉計型重力波検出器プロトタイプ(CLIO-100)を建設中です。この検出器はレーザー干渉計になっており、重力波による時空の歪みをレーザー光の位相変化として検出するものです。目標感度は、もっとも感度の高い100Hz帯域で約です。これは、地球と月の間で水素原子1個程度の距離変化の歪みを探していることに相当します。
このような極めて小さな歪みを探しているので、通常では問題にならないようなわずかな擾乱がノイズとなります。原理的なノイズ源としては、地面の常時微動、鏡および振り子の熱雑音、光のショットノイズなどがあります。
地面の常時微動は我々が気づかないだけで常に身の回りに存在し、典型的には1Hzで0.1μmほどの大きさです。しかし、神岡鉱山内ではこの地面の常時微動が1Hzで1nmレベルと極めて小さく、このためCLIO-100の建設地に選ばれました。加えて振り子やバネなどを組み合わせた特殊な防振装置で鏡を懸架することで、目標感度のような極めて小さな歪み計測が可能になります。